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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のFAZのレビュー・感想・評価

4.0
リズアーメットの演技が素晴らしいのと、さすがアカデミー賞で音響賞を受賞していることもあって、音の使い方が見事だった。

全く聞こえないわけじゃない聴覚障害の方の、こもったような、耳に何か詰まっているような聞こえ方を疑似体型できる。
見ている側も、主人公ルーベンと同じ目線で、同じ感覚でストーリーを追っていけるので、作品への没入感がすごかった。

よくアーティストの方も突発性難聴になるニュースを耳にするが、音楽や音を大事にしている職業の人が、朝起きていきなり聞こえなくなったら、とても恐怖だし受け入れたくないと、他の職業の人より思ってしまうだろうな。
もう絶望感といったらない。夢も生き甲斐も今までの努力も理不尽に奪われるわけだから。

悩みもがき、何度も絶望に叩きつけられた主人公が最後選んだ選択がとても胸を打つ。
聞こえるってなんだろう。聞こえないことへの喪失から、聞こえることでの喪失もあると気づかせてくれるラストだった。
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