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安城家の舞踏會のJumblesoulのレビュー・感想・評価

安城家の舞踏會(1947年製作の映画)
4.0
戦前の日本に存在した華族という特権階級の没落を描いた名作。
ほぼ屋敷の中だけで話が進むので、舞台演劇が元かと思ったら脚本は新藤兼人のオリジナル。チェーホフの『櫻の園』を下敷きにしたらしい。
この手の題材はルキノ・ヴィスコンティ監督が得意だけど、さすがにあのような豪華でスケールの大きさは無し。
主演の原節子は、後の小津監督作品に代表される庶民の娘やお母さん役では品が良すぎて違和感があるが、本作のような上流階級の娘役は正にハマリ役。作中のベタなエピソードや演出も、彼女の圧倒的な魅力で臭く感じない。
もう昭和なのに「殿さま」と呼ばれる家長役の滝沢修とドラ息子役の森雅之がさすがの名演。タキシードを着た執事役の殿山泰司は、どことなく可愛い(笑)
こうした邦画を代表する名作が、フィルムの劣化した映像をそのままデジタル化したもので残されているのが残念。リマスターは無理でも、せめてリストアして欲しいところ。
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