No.1539
2023.12.31視聴 2015年ドイツ映画
第2次世界大戦後、海外へと逃亡したナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンの逮捕実現へと導いたドイツ人の検事長フリッツ・バウアーの話。
アイヒマンも自分のしてきた仕事を誇りたかったのだろう。インタビューに応じ、それが逮捕のきっかけを作ることになる。
それは、逆に全く罪の意識がなかったことを物語っていて、末恐ろしくなる。
この映画で驚いたのは、ヒットラーの死と敗戦では、ナチスはドイツから一掃されてはいなかった事実だ。
実はナチス残党は政権内部に深く入りこんでいて、ナチスの罪を断罪しなければならない検察の上層部にも残っていた。
イスラエルの諜報機関モサドと接触したバウアーは、アイヒマンを追い詰めていくが、政権に残る残党も視野に入れた追跡だった。それを感知しているナチスの残党は、バウアーの失脚に策略をめぐらせていく。
この映画、派手な部分がないだけにじっくりアイヒマンを追うフリッツ・バウアーの思考に寄り添えて、見応え充分だ。
ゲイは、第三帝国では迫害の対象となり、戦後のドイツにおいても国家反逆罪だったことは、他の映画で知っていた。バウアー自身もゲイで、そこが弱点としてこの物語のクライマックスを盛り上げる重要な要素となるが、それは鑑賞されたし。
ナチものの中では変わり種の部類かもしれない本作、私は面白く鑑賞できた。