スマホゲーム『モンスターストライク』連動企画、YouTubeで公式配信されているアニメ本編の前日譚を描く映画(Filmarks 試写会にて)。
◆参考
予告編「全米は泣かない」
https://www.youtube.com/watch?v=Hlz2-4QPp0k
モンストアニメ公式
https://www.youtube.com/channel/UCWzenZSy9GJBcPzdSm-UX5w
★普通に手堅いホビーアニメ映画
「全米は泣かない」の予告編ではイロモノ的イメージがついていたのに、意外というのは失礼か、普通におカネをかけてきちんと作った手堅い作品。
ゲームキャラが拡張現実に出てきてプレイヤーの分身としてドンパチ賑やかにバトルする。『遊☆戯☆王』などが好例だが、スマホという身近な電子機器に端を発し世界を救うスケールのデカい話に発展する点は『ロックマンエグゼ』や『デジモンアドベンチャー』のイメージに近いだろうか。
物語のカギを握るパワースポット的な島根の某神社を目指し、『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』よろしく少年少女たちの冒険の旅路を横軸、家庭をないがしろにする研究者の父を持つ主人公の親子の絆を再確認するドラマを縦軸に置いて、主人公が自分自身の弱さを認め、真の仲間との友情を育む過程を描く、愚直なほどにトラディショナルな成長物語。
ホビーアニメにしては自衛隊まで引っ張り出しての大仕掛けで(よくある)国家プロジェクトとしてのモンストの謎を巡るバトル・アクション、サスペンス・スリラー要素満載、また旅立ち前のコンビニでの食糧買い込みや旅先でのスマホによる地図確認の何気ないひとコマなどを描く、現代的な少年少女たちのロードムービーとしてもなかなか好感触。
作画はさすがに常にスクリーン映えを意識して安定的に綺麗。旅の楽しさ、不安さ、自然の美しさを活写している。
★手堅い……?
とは言っても『君の名は。』で言う「口噛み酒」のくだりのようなCOOL JAPANなアニメ映画特有の「キモい」ところも残っている。
小学生女子が「おしっこ」を連発して危うく漏らしそうになったり(劇中では言及されないが結局トイレに行けたのだろうか?)、自動車からキャバレーのマッチを見つけたり、旅路で歓楽街を歩いて顔が紅潮するくだり、親子連れで見ると、ちょっと空気が凍りそうなところではある。個人的にはジャパニメーションからそういうのが全く一掃されてしまうと寂しいものではあるが、主題に関わりなくあえて織り込んであるのは、あくまで深夜アニメのノリだなぁと思わせる(本編はYouTube公開だけど)。
★余談
どうでもいいことだが、アーサー王というと、金髪美女でエクスカリバーからビームを放つのは、『Fate/Stay Night』以降の世界の常識なんだろうかね……?