IkuoKomiya

BLAME!(ブラム)のIkuoKomiyaのレビュー・感想・評価

BLAME!(ブラム)(2017年製作の映画)
4.0
『ブラムBLAM!』
それを「未来」なんて呼んでも何の意味も無い。
それほど私たちの日常生活とは隔絶した舞台。
だがそこで始まる物語の中で主人公達は「何か食べたい!」という飢餓に駆られて命をかけている。
様々なSF的専門用語を飛び越えて「このままでは一ヶ月で皆んな飢えて死ぬ!」その切実さだけが観客である自分の胸に飛びこむ。
もはや原始的なレベルの共感。その共感をパスポートに「ブラム」という映画はただ息をして生きる事にすら途轍も無いリスクを背負わねばならない非情、理不尽、不条理の世界に私達を連れて行く。

独立した生態系の様に自己増殖して無限に成長していく「都市」の中で「異物」として排除される人々。本来、生活の場である筈の場所から拒絶されて生きるとはどんな気分だろう…。そこまで想像して、未来を生きる彼らの生き辛さと今の現実の自分が味わっている生き辛さにそれ程の距離は無い事に不意に気づかされる。隔絶されているどころでは無い。これは私達の物語だ。彼らにとって「都市」との関係性を回復する“ネット端末遺伝子”が探し求めるべき最後の”希望”なら、私達にとって“希望”とは何だろう。そう思わずにはいられない。
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