みやび

路面電車のみやびのレビュー・感想・評価

路面電車(1966年製作の映画)
4.8
キェシロフスキのボーイ・ミーツ・ガール

人が一瞬一瞬、その時々に選択する行動から偶然的に生まれる運命の結末。
これは「運命」と「偶然」が織りなす「愛」についての物語。

ひとつひとつのカットが本当に美しい。
走り出すカット
出会いのカット
見つめるカット
走り出すカット

主人公が、寝ている彼女を乗せ走り出す路面電車を追いかけるラストシーン。
目的は違うかもしれない、だが彼は偶然にも序盤のシーンで同じように路面電車を追いかけている。
行動としてはほとんど同じ、ただ目的が異なる。

たった5分という映画にしては短すぎる時間で描かれるのは、幾つもの「運命」と「偶然」。
『トリコロール赤の愛』が「運命」と「偶然」の集大成の作品だとしたら、本作は原点に位置する作品。
きっとこの先も、キェシロフスキの誕生を見たという感動を忘れることはできない。
みやび

みやび