Yoshishun

映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険のYoshishunのレビュー・感想・評価

3.7
※本レビューにて3500Mark目達成しました!
いつもこんな駄文を読んでくださりありがとうございます✨



映画ドラえもん37作目は、藤子・F・不二雄による原作無しの完全オリジナル×初の凍える南極が舞台の冒険もの。クトゥルフ神話の一編をモチーフにしてるとかどうとか言われていたが、ほぼ予習無しで本作に臨んだ。

相変わらずかき氷をたらふく食べたいという願望だけで南極へと旅立ったのび太とドラえもんが環境破壊の如く氷の遊園地を創り上げ遊んでいたが、そこで10万年前に作られたとされる大きなリングを見つける。南極の地下深くに眠る滅びの山‥‥ではなく古代都市へと向かうドラえもん一行は、そこで人間も知る由のなかった真実、そして強大な怪物と対峙することになる。

いつものことながら、映画限定のひみつ道具は後半に活用され、冒頭のスパイダーセンスの如くのび太が感じる違和感や意味深なカット割りが伏線として利用される。更には子ども向け映画ながらちゃんとSF映画としてタイムトラベル要素をフル活用しつつ、ドッペルゲンガーのようなもう一つの存在に翻弄されるホラー要素もあり。さすがにラスボスが『もののけ姫』のアレっぽかったり、どうも宮崎駿映画のいいとこ取りにも思えなくもないが、そこも御愛嬌といったところか。

他にも地球の命運どころの話ではなく、惑星間での存亡を懸けた選択を迫られるというハードな展開もあり、それを小学生レベルの年齢の子に押し付ける強引さも、映画ドラえもんならでは。

今回はしずかちゃんが殆ど影になってしまっていたり、スネオがクズ人間としてあまり機能していなかったりと、いつものメンバーの扱いにはやや不満あり。また、冒険パートで古代都市に向かうまでの描写はダイジェストで描かれてしまったのも残念。幾多の危機を乗り越えてこそのあの発見なら良かったのに、やや淡白に感じられたのは惜しかった。

それでもドラえもん映画らしからぬホラー要素やそもそも凍土を舞台にするという挑戦は成功していたように思うし、完全オリジナル作品としては良作の部類に入るだろう。次回作が更に気合と勢い重視の『のび太の宝島』と、新ドラえもん映画の快進撃は本作から始まったのかもしれない。
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