日向日向

新感染 ファイナル・エクスプレスの日向日向のレビュー・感想・評価

5.0
ゾンビ映画に見せかけた濃厚な人間ドラマ。

期待値がわりと普通だった分、いい意味で裏切られた、そんな神作品です。

褒めたい点は多々ありますが、僕は人間ドラマが近年稀に見る素晴らしさだったので紹介しようと思います。

独り善がりな父と、だれにでも優しく振る舞おうとする娘の2人がメインに据えられているわけで、その2人の成長譚となってストーリーが進んでくるわけですが、その描写が秀逸なのです。
本来であれば、大人が子供を導き、成長させるのが筋であるのに、今回は敢えてその真逆を描いていると強く感じられました。
子供が誰よりも大人のように振る舞い、逆に他の大人を子供のように振る舞うように撮影したからこそ、濃厚なストーリーに仕上げられたと思いますね。

また、ミストを彷彿とさせる描写もよかったですね。本当に怖いのはゾンビではなく、人間なのではないか? と考えさせられます。
結局、パニックになった人間が1番何をしでかすかわからない、それを精一杯に描き尽くし、尚且つ異常事態における心理状態の機微を綿密に描くことに終始していたからこそ、文句なしの星5なのだと確信しています。

そう考えると、韓国映画というよりと、見た感じ日本映画という感覚の方が強く感じられましたね。
親子愛の描き方等がもろに日本映画のそれだと思いました。そして男ながら号泣をしてしまうことに…そんなよさがこの映画に余すことなく散りばめられていました。

また、言わずもがなゾンビとの戦闘、パニックシーンは必見です。韓国の本気、ここにあり、ですね。

今年の映画作品の中で、最も優れていると言っても過言でない本作、必見です。
日向日向

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