タナカリオ

新感染 ファイナル・エクスプレスのタナカリオのレビュー・感想・評価

4.2
ゾンビの感染は、自我が残らないため実質「感染」=「死」となる。しかし、通常の「死」とは違い、身体は残る。その身体は新たな感染を引き起こし、時には愛する人をも犠牲にする。そんな悲しさがうまくストーリーと一致し、物語の中の人物にも、観ている観客にも、「愛」を認識させる。

舞台はプサン行きの高速鉄道の車内。疾走する鉄道の中で謎の感染により凶暴化した感染者が蔓延する。車内という密室の中でどうやって生き残るのか。韓国発のサバイバル・ゾンビ映画である。

韓国や日本でゾンビ映画をやるにいいことは、アメリカのように「銃」で戦えないことだろう。(アイアムアヒーローでは思いっきり銃が使われていたが…)銃で簡単に倒せないため、それなりに工夫してゾンビを倒す必要がある。ここではそれが車内の「動く密室」を上手く利用している。舞台が高速鉄道であるからこその感染者のかわし方が面白い!
そして感染者は新たな感染者を襲うという悲劇が車内の親子、夫婦、恋人、姉妹に降りかかることによって、このゾンビ映画ならではの感動が生まれる。

ラストシーンではしっかり冒頭部分のエピソードの伏線も回収されており、何とも脚本が上手い作品に感じた。もちろんゾンビのクオリティもすごい。従来のゾンビに「速さ」が加わり高速鉄道の疾走感を損なわない。

ハリウッドでリメイクされるということだが、これ以上に上手くリメイクする必要はないのではないか…と思わずにはいられない。
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