ゆず

新感染 ファイナル・エクスプレスのゆずのレビュー・感想・評価

4.0
アイアムアヒーロー
メイクより動きでゾンビを表現
そして父になる
100人以上の感染者をそれぞれ違う外見にデザインした。
時間の経過によって感染レベルを変えることで、過度な印象や嫌悪感を与えずにリアルな感染者を表現した。
列車内の狭い空間では感染者の目が見えにくくなる代わりに、音に敏感になる動作を加えた。
生き残るための群集のエゴや社会的な葛藤、災難に対応する国家と市民の態度。
偶然と運によって悪人にも善人にもなりうる世の中。
噂や不確かな情報が入り乱れる世の中で感じる孤独。そのような混乱を最大限に生かしながら、そこに列車そのもののスピード感を加えると、これまでにない異色でスリルあふれる映画ができると思った。
3分の1がCG。
音楽に合わせて感染者の動きをとらえ、同時にダンスのように見えないようにした。ビデオゲーム「7 Days to Die」を参考にした。
庶民のドラマや争いを描くのが好き。
「ザ・ロード」2009「ミスト」「ソウル・ステーション パンデミック」
韓国で列車に乗ると、数多くのトンネルを通るので、トンネルをゾンビの特徴と結び合わせた。
列車が終着駅に向かう点が、世界の終末に向かっていく点と重なる。
人間が経験しうる最小限の社会が家族だと思う。だから、社会性も描けるし、社会と対比する別のものも描ける。
ゾンビに関する恐怖は大きく2つある。1つは愛する人が全く違う存在に変わってしまう恐怖。もう1つは自分自身が別の存在に変わってしまい、愛する人を攻撃したらどうしよう、という恐怖。本作では血が飛び散るようなスタイルは排除し、ポイントを恐怖にしぼって、それを強化して描いた。
序盤、おばあさん姉妹がニュースを見ながら、違う反応を見せるが、相反するイデオロギーがあるという意味を込めている。
10代の少年少女たちが、大人から搾取されている、という社会の一面も盛り込んでいる。
主人公は社会の発展、成長ばかりを考えている世代の代弁者にしようと思い、ファンドマネジャーという職業にした。妻とは別居中で、家庭を顧みない忙しい父親という位置づけにして、キャラクターがどんどん変化していく様を見せたいと思った。
対比として、ヨンソクは悪へと変わっていく。
一般の人々からすると、ホームレスは異質なもの。ゾンビでもないけれど、普通の人とも違う。そういう存在を、果たして一般の人々は受け入れられるのかどうか。受け入れる姿勢・態度を見せることによって、普通の人々が変化していくところを見せられると思ったので、ホームレスは重要な存在として描いた。
ボーンブレイクダンスという、関節を折るような動き。アルツハイマー症候群の方の動き。
世代論。一つの世代が子どもたちの世代に何を残せるのか。歩道橋を使い、垂直な動きをつける。
ヴァンパイアやオオカミ人間は超人的な能力を持っているが、ゾンビは普通な感じがして愛着がある。
ゆず

ゆず