風俗店でくも膜下出血を発症した主人公の過酷な闘病生活と、発症時の状況を周囲に隠し通そうと奮闘するさまを描く物語。原作未読。DVD鑑賞。
くも膜下出血を発症した後に見えるようになる、バットをフルスウイングしながら、死神ばりに忍び寄ったり・待ち受けたりする、くまモンをシュールにしたような「くもマン」のキャラのアイディアが良い。天災時なら怒られただろう。
風俗店で消えた靴に対して異常なこだわりを示す空気を読めない母親や親戚一同の会話は、何気ない一言や様々な過程で靴の話に何度もループし、離れたいのに離れられない靴を巡る仕組みが面白い。
このようなシュールな展開の中に、くも膜下出血に対する病気の生還の低さや、苦しさや、周りの辛さ、社会復帰の大変さを盛り込む物語の妙は良いが、いくら低予算作品だとはいえ映画なのだから、無駄にカッコ良くした音楽なみに撮影構図や背景のことも考えてほしかった。
作品を通して、演技の熱量がゆるキャラ並みに抑えており、淡々とした落ち着いた作風と役者達の演技が合致したことが心地よい。