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ダゲール街の人々のtamicのレビュー・感想・評価

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)
4.5
映画の中のパリは洒落てるけれど、1970年代の日本とそう変わらないパリもあったんだと新鮮だった。

お客さんは笑顔で挨拶しながらお店に入ってこないし、お店は雑然としてるし、女性の髪の毛はバサバサだし、中年男性は首ののびきったシャツを着てるし。

だけど、ヴァルダが捉える日常はとても映画的で、見入ってしまう。在庫の匂いのする小物たち、何十年も繰り返される店の明け閉め、仕事をする人々の手、ダゲール街の人々の『私』についての語り、そしてささやかな魔術…映画は私たちの物語であると私は思ってるんだけど、このドキュメンタリー映画にもそういう思いを感じた。何もかもに宿っている物語を決して消費しない創造者の眼差しがとてもいい。
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