ブラックユーモアホフマン

ダゲール街の人々のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)
3.7
愛らしい。

ダゲール街の人々(ダゲレオタイプ)の生活をダゲレオタイプ(世界最古の肖像写真技術)として写すという言葉遊びから始まるチャーミングさ。

そこに暮らす人々同士の愛とそれを見つめるアニエス・ヴァルダの愛を感じる。暖かい気持ちになる。

この時代、この街の空気がフィルムに閉じ込められている。それがいささか切ない気持ちにもさせる気がする。
ここに写ってる人たちはもうこの世にいない人たちばかりだろうし、これを撮ったアニエス・ヴァルダ自身ももういない。
今、スクリーンを見つめる我々をカメラの先から静かにじっと見つめ返す当時の人々が、亡霊のようにも見えてきた。

【一番好きなシーン】
腕を刺すマジックと肉の解体をカットバックで映すところ。