悪魔の毒々クチビル

Dead Before Dawn 3D(原題)の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

Dead Before Dawn 3D(原題)(2012年製作の映画)
4.0
Half zombie. Half demon. All zemon!

お爺ちゃんの経営するオカルトショップの店番中、うっかり呪いの壺を割ってしまった冴えない青年のお話。

楽しいゾンビコメディ映画です。
いや、正確にはゾンビじゃなくてZemon(ズィーモン)か。
まず、このZemonって語呂が良いよね。不思議と何度も口にしたくなる中毒性がありますZemon。

この作品の全体的な印象としてはコメディ色がかなり強く、その反面恐怖演出や残酷描写といったホラー要素はかなり抑え目となっています。
まぁイケてない高校生が主人公の学園系ホラーコメディパターンなのでね、緩コメな感じが嫌いな人には合わないでしょう。
因みにお爺ちゃんは皆大好きクリストファー・ロイド。こういうホラーでも脇役ながら生き生きと演じていてほっこり。

ただそのコメディ要素が中々面白い。
まず、うっかりWaking the zemonしちゃった主人公達がとても良いキャラしています。
例えば zemon登場!→皆で「ギャアアア!!!」みたいにリアクションする場面が多々あるんだけど、最早団体芸のような安定感のある面白い表情を毎回見せてくれます。
どうやらメインキャラのベッキー役が監督で、セス役が脚本のようで。
中盤、壺を直すために必要な素材を順々に集めていくっていうちょっとゲームっぽい展開も面白いね。
頬についた米を取ってあげる的なノリで、ヒロインが主人公の耳についた脳ミソを取ってあげる所が一番好きかな。耳についた脳ミソってなんだ。
終盤はちょこっとだけハラハラさせてくれます。ついでにちょこっと感動もします。泣くまではいかないけど。

呪いのせいで主人公たちと目を合わせた人は衝動的に自殺してzemon化してしまうんだけど、途中学校のいけすかない先生と鉢合わせてからの「ちゃんと先生の目を見て話しなさい!」「いやすいません、それだけは絶対無理なんです!」みたいなやり取りもこの設定ならではで良かったです。
主演のデヴォン・ボスティックの冴えない雰囲気がバッチリハマっていましたが、コメディだけでなく「サバイバル・オブ・ザ・デッド」や「ソウ6」なんかのホラーにも出演しているようで。
あと金髪チアガールのブリタニー・アレンもその後はコリン・ミニハンの作品の常連になって毎回酷い目にあっていますね。

俺が買ったのは北米版Blu-rayなんだけど、特典映像がメイキングやNGシーン集、MV等含めてトータル何と50分以上あります。
超豪華で嬉しい限りなんだけど、特典映像には字幕付いてないから分からん部分も多くて残念。

未だに国内での上映やソフト化も決まってないのが不思議なくらいの良作です。
「カリコレ」や「未体験ゾーンの映画たち」辺りのラインナップに加わっても全然良い出来だと思うんだけどなぁ。あそこに毎回あるハズレ枠よりは全然オススメです。