ベビーパウダー山崎

一晩中のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

一晩中(1982年製作の映画)
2.5
暗闇に潰した出来事の羅列、こちらが見えていない物語まで想像して創造する義理もない。そこまでアケルマンを甘やかすわけにもいかない。そもそも、他人の関係性など端から信用していないし必要とも思っていない作家だからこそ、これだけ人と人の断片を映画に散らばすことができる。
音楽のみ赤子のように純粋に寄り添っている。部屋の奥からほぼ固定で長回し、抱き合おうが別れようが、キャメラは絶対に触れあえない距離に置かれ、どのキャラクターも特別視しない。
枠組みで語られるのをとにかく嫌うから、物語的な映画も平気で撮ればドキュメンタリーも真顔で手掛ける。貫かれているのは母親への過剰な愛情。孤高なジプシー、己と重ねて共鳴すると鼻で笑われ喰われる作家。