また淋しい夜が来て
(個人的に)アイデア勝ちないくつもの出会いと別れを紡いでいく恋愛群像劇。心地いい秋の夜中ではなく、寝苦しい・寝つけない夏の蒸し暑い夜にでも部屋を暗くして見てほしい一本。紛らわせるように誰かの腕に飛び込み・抱き寄せ、身を寄せ合いたくなる。
登場人物のバックグラウンドが見えない上に、ろくに見えない画が続くなど画面が真っ暗なので集中力が削られるけど、(伝統芸能的楽しみ方よろしくウトウトしたり)"そもそも注視しなくてもいいのでは?"…とすら思う、安易な共感を排したアケルマンらしい時間が流れる。あくまでそこに居合わせた観察者のような冷めた視座から。言葉とカット数少なく、淡々と説明らしい説明ゼロで、"ドラマ"のように分かりやすい形による観客との絆を築くことを拒絶する孤高の作家性。決してウエットにならないここに作品との感情的なつながりを求めたり、ドラマ性を期待するだけ無駄か。
本当に自然光のみで撮影しているのだろうかというほど限られた光源を用いて暗闇の中に佇む人影、渋い・画になる。やがて朝が来て平気になれば、また他人に戻っていくのだろうか?すごく暑い。
P.S. イチャイチャカップルのBGMとして消費されるのではなく、敢えて孤独に。