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ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女のAのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

フィクション入ってるし脚色もあるって全部承知の上で見たけど。
単純に一人の人間として、あまりにも悲しい人生だと。

無論彼女が実際何を考えていたか、どこまで事実かという話はあるだろうが、実際「朝鮮の王女が日本にきて、終戦後暫くするまで帰れなかった」のは事実だろうと。普通に考えたら、まぁ歴史・民族の誇りの守護者という自覚があったら、実際こういう心境だったんじゃないだろうかと想像できる。

国、とか民族、とか
そういうもので見るから憎悪が生まれるんじゃないのか
同じ一人の人間として、感情がある存在として見たら
ヘイトは多少ましになるんじゃないだろうか
その人がどういう思いを抱えて、どういう背景を背負って生きてきたかを知った上で、同じこといえますか

併合中多くの同胞の命を失いながらも帰ることを目指し続けた故国に、終戦後今こそ戻れるのだと希望を抱いた矢先、港で入国拒否を通達された場面。
血を吐くかのような声で「私は、朝鮮人、私は、朝鮮人、、」と狂ったように言い続け、段々正気を失っていく場面が、本当に、怖かった。

最後、飛行機の窓から数十年ぶりに故国の地を見ている場面、私自身が海外から日本に帰ってきた時日本の国土が見えた時に感じる「帰ってきた」という気持ちが想起されて、泣きたくなった。

誰だって、故郷に帰りたい気持ちは同じ。

最後に、これは「特定の国が悪い」とかいう話以前に「国民国家の利益」という単位で考えることの現代的価値を、ちゃんと観た人が批判的に考えてればいいなと思う。じゃなければ、妙なナショナリストを再生産する結果になりかねない。

という懸念点はあるものの、あまりにもドラマティックな生涯をいいスピード感・テンポ・深さで描いているという総合的に映画としてかなり満足できた映画なので4点。
A

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