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花に嵐のSのレビュー・感想・評価

花に嵐(2015年製作の映画)
4.5
フェリーニの『8 1/2』POV版。青春モノでありファンタジーでありAVでありホラーでありサイコスリラー。なんならこれらの要素全てイコールで繋げられるのではと思ってしまう。映画タイトルの名前を思い出したと同時にタイトルが出てきて不失者のPathetiqueみたいなノイズ音楽が流れるところの演出は耳が死んだが(中耳炎発症中)かなり鳥肌が立った。早稲田の映研が新宿に集まってTOHOに行く設定も面白いし、古谷先輩+古谷女子の大群の部屋で流されるギャスパー・ノエの『Enter the void』を誰一人として観ていない状況設定も面白い。二階の壁一面が写真で埋め尽くされた部屋はエドワード・ヤンの『恐怖分子』でしかなく、ここで再び鳥肌が立つ。
「やり方がわかるからやるんじゃないでしょ、やりたいからやるんでしょ」という名台詞、「運転したいんです僕!!」からの盗んだ車で夜ドライブのシーンが美しすぎて大学時代の夜行バスの記憶が蘇る。
ところどころ音量がまばらなので片手がリモコン調整に忙しかったが、空のシーン(救済)とカメラ返却&名前の読み方のくだりからの監督名が控えめにドドン、最後まで綿密に作り込まれていて感嘆でしかない。音楽も良かった。
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