ゆるっと映画探訪記

ドリームのゆるっと映画探訪記のレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.6
夢を見た。不可能を可能にするために。
の映画。

シーン一つ一つが愛おしい映画でした。
脚本もそうですが、キャラクターそれぞれが人間臭く、そして愛らしく描かれています。

3人の個性あふれるNASAに勤める女性の話。
頭のキレる計算者として、女性として、そして黒人として宇宙計画に参加します。

今よりももっと黒人が冷遇されていた時代。
自分の可能性を信じて、前向きに挑戦した彼女たちに勇気をもらえます。

どっしりしたドロシー、繊細ながらきっちりしたキャサリン、勝ち気なメアリー。それぞれ知性あふれる女性ですが、なかなか仕事に恵まれない。

それは彼女たちが女性であるということ、そして黒人であるということ。まだ非白人用と白人用の別がつけられていた時代です。

アメリカは宇宙計画に力を注いでいましたが、ソ連に先を越されてしまいます。何としてでも、有人飛行計画を成功させたいアメリカ。それには優秀な計算者、技術者が必要です。それが彼女たちというわけ。

ただ、職場環境はなかなか辛いものがあり。白人、男性だけの社会。場違いのような環境で健気に仕事にとりくむキャサリンたち。建物内には非白人用のトイレがないため、用を足す時には別棟まで走らなければなりません。コーヒーももとは一つだってはずが、彼女が配置されてから黒人用のコーヒーポットが置かれます。上司のハリソンは計画に夢中でそんな事情には気づくはずもなく。1日になぜそんなに長時間席を外すのか、キャサリンを問い詰めます。

私のお気に入り、いえ、みなさん好きなシーンかと思いますが、彼女の思いがあふれ出ます。キャサリンは計算に集中し、計画に貢献したいだけなのです。そのまっすぐな思いと、理不尽さがひしひしと伝わります。

ハリソンは堅物かと思いきや、非常に柔軟な上司で、黒人用のトイレをなくし、会議にもキャサリンを加えるようになります。

全ては計画を効率よく達成するため、という名目はありますが、当時としては大胆な行動だったことでしょう。

少しずつ変わっていくNASAの人間関係に惹きつけられてしまいますね。

なによりもシーンを一つ一つ丁寧に演じていた俳優が素晴らしい映画でした。

勇気づけられたい時にうってつけの映画でしょう。