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ドリームのminoriのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.2
良かった。本当に。

主人公3人の性格・行動・ファッションなど全てがカッコよくて、同じ女性として非常に元気付けられました。

前半部分は、黒人女性に対する差別の応酬で物凄く複雑な気持ちになったけれど、後半からラストにかけての流れはとても良かった。

白人から大っぴらに卑下され、同じ黒人男性からも「女性のくせに」と勝手なレッテルを貼られるという、差別の連続。

だがしかし、主人公3人を始めとする優秀な黒人女性たちが、優秀さだけではなく多大なる努力を積み重ねて勝利を掴み取っていく姿は、観ていて本当にスカッとしました。

あ、邦題の『ドリーム』に最初に付いてた、アポロ計画がなんちゃらって副題は、無くして本当に正解だと思いました。
マジでアポロ関係無いですから。
メインはマーキュリー計画ですから。

原題の『Hidden Figures (ヒドゥン・フィギュアーズ)』のままでも良かったんじゃないかなぁ・・・と個人的には思ったり。
だって本当に、栄光の裏側でこんなに素晴らしい女性達の存在が隠されていたなんて全然知らなかったし、耳慣れないから逆に皆気になるかもしれないし。
まあ今更ですが。

昨今の2時間越え作品にしては珍しく、中弛みした部分も無かったと個人的には思いました。

欲を言えば、主人公の1人キャサリンと、軍人ジムのロマンスをもう少し描いてほしかったかな。
唐突にトントン拍子に進みすぎていった気がする。(苦笑)

あと、今回は巨匠ハンス・ジマーに加えてファレル・ウィリアムスが音楽を担当。
出てくる曲がめっちゃカッコいい!!

ただ、カッコ良すぎ&サウンドがちょっと現代寄り過ぎる感じがして、急に現実に引き戻されるような箇所がちょくちょくと・・・(^^;)
曲が良いだけに、ちょっと勿体無い!

兎に角、どの場面・台詞を切り取っても印象的な箇所ばかりで、観ていて飽きませんでした。
特に印象的だったのが、
キルステン・ダンスト演じるイヤミな女上司と、オクタヴィア・スペンサー演じるドロシーの会話シーン。

女上司が、わざわざドロシーに
「誤解しないでね。私、偏見は持ってないのよ」と告げる。

それに対するドロシーの台詞が、凄く強烈でした。
ぜひ劇場で聴いて欲しい。

偏見は持っていないと自分に言い聞かせていても、咄嗟の反応や行動・言動に
偏見が滲み出ることは、悲しき哉あり得ること。

時代は違えど、「人種」や「性別」への思い込み・偏見が無くなったわけじゃない。

ぜひ男女に関わらず観てほしい、オスカーノミネートも納得の、良い作品でした。

こういう女性メイン、黒人メイン、ひいては有色人種がメインの、正統派な作品が
もっと増えていってほしいなぁ。
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