Shelby

ドリームのShelbyのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.7
NASAに実在した黒人女性3人を描いた実話からなる作品。黒人差別の時代により決して語られることのなかった、彼女達の影での活躍。徐々に自分たちの運命を切り開いていく3人の姿が気持ちが良い。

頭脳を買われ、宇宙特別研究本部へ異動になったキャサリン。しかし、その中でも陰湿な黒人差別が存在している。
作中何度も出てくる、白人用と非白人用の差別の数々が観ていて痛々しかった。部屋はもちろんのこと、図書館、トイレ、道端に設置された公衆水飲み器まで区別されている始末なのだから。

黒人用トイレがないことから1キロ近く遠い場所にあるトイレにいくため、1日に何度も席を外すキャサリン。上司ハリソンにいつも席を外していることを咎められ、堪らず吐き出される言葉。

「非白人用のトイレがないんです。遠く離れた場所までトイレに行っているんです。
こんなに身を粉にして働いているのに、非白人用のコーヒーには誰も手をつけようとしない!」

その言葉でやっとハリソンも当たり前のように周りで行われていた差別に気付く。
この時代、差別が当たり前すぎてどこからが差別かなどの判断がつきずらかったのだろうか。そんなことを考えてしまうほど、恒常的に区別されて当たり前、という風潮がしっかり見て取れた。
キャサリン、ドロシー、メアリーそれぞれの成功があり、最終的にはほっこりとする終わり方。
偉業を成し遂げる人々の近くで、確かに存在していた女性達。声を上げる女性達の逞しい姿に少し背中を押された。
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