ベビーパウダー山崎

レッド・スパローのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
3.5
ロシア側のジェレミー・アイアンズ、シャーロット・ランプリングという狙ったキャスティングがきちんと上手くいっている。フランシス・ローレンスはそこまで悪い監督ではないが、骨太な演出と日和った(妥協した)シーンとの落差が余りにも大きいのが難点。通俗的な大作では終わらせない、作家性で勝負したいという志は一応あるような気がする(『ハンガー・ゲーム2』は傑作)。複雑なスパイ同士の駆け引きを物語に入れ込んだときに、映画が説明で支配されてしまう、状況を描くのに一杯一杯になってしまう失敗作は数多いが、今作に関してはできるだけ個人と個人の小さなドラマで映画を進めていて、心理ゲームふくめてそれなりに成功していると思う。ジェニファー・ローレンスの豊潤な肉体、皮膚を削る拷問、時代遅れの象徴(悪)として描かれているそのくだりこそが下卑た感性をダイレクトに刺激する(映画にとって大切)+0.5。