ついに、シリーズ5作品、完結。
続きも作ろうと思えば作れそうな感じではあるけど、ケイトベッキンセールのセリーンの物語としては一応の帰結を図っている。
ヴァンパイアとライカンの抗争。
元はヴァンパイアの奴隷的な存在の狼男種から生まれたライカン。
ライカンがヴァンパイアから解放され、牙を剥いてから長きに渡る種族と種族の血で血を洗う争い。
本作では、いよいよライカンがヴァンパイアを追い詰め、ヴァンパイアもかなり絶え絶えの数に。
残りわずかなヴァンパイアを根絶やしにすべく、今までよりもさらに強力なリーダーの台頭でライカンが最後の一手のところまで、、、。
5作目はケイトベッキンセールの最後の見せ所のような作品。
冷酷な処刑人から始まり、同族の父親同然の最強ヴァンパイアのビクターとの決闘、愛すべき人との出会いと別れ、そして、娘を守る戦い、、、。
ここまで壮大な幾多の死線と経験を潜ってきたセリーン。
もはや、ヴァンパイアにとっても、ライカンにとっても生ける伝説的な存在になっている。
一方でセリーンもこれらの経験を経て、最初のカリスマ性の塊みたいなスタイリッシュな殺し屋的な尖った雰囲気から、自分の強さや価値を利用しながら立ち回るしたたかさや、周りを率いて、仲間を守ろうとする“心”があり、情に脆い部分も。
セリーンの強さの幅が出たと共に、弱点も出てくるという、なかなか痛し痒しな彼女の葛藤を感じる。
それでも、これまでのことを受け止めて、今起きてることを受け止め、ここからのことも覚悟する。
死を覚悟しながら、生きる覚悟もする。
5作品目となると、かなり、コアな部分を掘り返し、その中で陰謀、裏切りめいた政治や伏線を盛り込む。
それをいつも通り、ものすごいテンポであれこれ進めるもんだから、「え?そんなあっさり、それ、やっちゃうの、この人?」みたいなことはある。
でもまぁ、それをじっくりやられても結果は変わらんだろうし、開き直って世界観と話の完結に徹しているとは言える。
ケイトベッキンセールの美しさを存分に楽しむならこのシリーズしかない。