このレビューはネタバレを含みます
主人公は己の行動故にその行き着く先も十二分に承知している。それでも進むことも引くことも出来ない。二進も三進もいかない状況。汚泥の中でただ、ただもがく事になんの意味があるのか。
恐らくはじめのうちは「藻掻かねばならない」意味を理解していたはず。
けれど時間が経てば経つほど「藻掻く」ことへの麻痺から「藻掻くこと」が目的になってしまったような。
どうして俺はこうなったんだっけ?
なんで俺はこんなことになってるんだっけ?
血だらけになりながら、痛みに苛まれながら「藻掻くこと」に必死になりすぎて「溺れないように」する為の理由を失いかけている──そんな切なさが垣間見え、虚しさを覚えます。
ウソンさんのギラついた視線、捨て鉢な笑み。素晴らしかったです。
ただ、同情は出来ない。
貴方達はこうなるしかほか無かった。としか言ってあげられない。
あー、粘っこい空気の中、奈落の底に落ちていくのって、きっとこんな感じなんだろうなと思った。