青二歳

俺もお前もの青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

俺もお前も(1946年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

戦後1年の1946年東宝。成瀬巳喜男のサラリーマン喜悲劇。エンタツアチャコのコメディアンがサラリーマンの悲哀と意地を演じる。東宝争議ど真ん中、社会主義の香りに満ちたGHQ検閲下時代の謎映画。46年はGHQも社会主義の匂いを隠してないというか本国でもレッドバージまだだからなのか?興味深い。成瀬巳喜男オリジナル脚本。46年でアチャコの大学生の息子はメーデーの歌を歌ってるし、ラストは資本家へ反旗を翻す痛快劇の体裁。GHQはチャンバラ映画の名シーンを検閲の上カットしたりしているクセに、何故この喜劇はノータッチだったのだろうか。
まぁ成瀬巳喜男と政治性はあまりつながらないし、単なるコメディとして観るべきなんでしょうか。確かに普通にありそうな勤め人の悲哀がベースになっていて、とても身近に感じられます。だからこそ喜劇として当時も楽しく受け入れられたのでしょう。ロクでもない社長だからガツンと言ってやりたいし、あんな扱い受けて抗議してくれなきゃやり切れません。
かといって政治的な香りがしないかというとそう済ませるわけには参りません。だって東宝争議真っ只中。成瀬巳喜男は東宝争議で組合側に残った一人らしいですからね。改めて東宝争議について勉強したいなと思っているので、参考資料としても興味深い作品でした。

社長が闇市にあんな精を出してるとか世紀末だな…
青二歳

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