感激したし不謹慎だけどとても面白かった。
ホロコーストの専門家である主人公が自身の著書で、「ホロコーストなんてものはそもそも存在しなかった」というトンデモ論を持論としている専門家を差別主義者と非難したことで名誉毀損で訴えられるという話。
ホロコーストがそもそもなかっただなんて何て馬鹿げた主張なんだろうと誰もが思うところだけどところがどっこい、この映画自体は極めて高い知性を必要とする映画だった。
一瞬勘違いするけどこの裁判の争点は名誉毀損であってホロコーストの有無ではない。でもそれを議論するにあたってホロコーストのことを無視することはできない。
この訴えてきたおっちゃんがほんと典型的な差別主義者って感じで、とにかく口が悪い。口から差別用語が次々出てくる。そして屁理屈がとにかく上手い。手強い。
裁判はとても高度な作戦を必要とする論理性の高いもので、こんな明らかな差別主義者でもやり方次第ではやり合えてしまうという恐ろしさ…
論理論理論理で進んでいく中でそれに負けないぐらい主人公の歴史に対する敬意、特にホロコーストという悲劇への強い想いが溢れた映画で、その二つの力が一つになって一本のすごい映画になったんだなあと思う。