ヘラルドスクエア

否定と肯定のヘラルドスクエアのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
3.1
良くまとまった映画。
これが実話だというのだから嫌悪感しかない。
当初主演にキャスティングされていたヒラリー スワンクさんをレイチェル ワイズさんに変更したのは英断だったと思います。
レイチェル ワイズさんは両親ともにユダヤ系。ハリウッドきっての頭脳派でケンプリッジ大学卒業。
役柄からも、この映画にかける思いは相当なものだったと想像できます。

この裁判は日本でも当時、それなりに報道されていましたから覚えている方は多いと思います。
なんて胸糞馬鹿げたことを争っているんだと思いますが、これが現実だともいえるわけで。
というのも、この愚かな説を強力に支持している気が狂っている人たちが、一定数(決して少なくない)存在しているのが現実だからです。
味方がいるからこそこんな説を堂々と唱える輩が出現しているので…。
近年では若者を中心に世界で勢力を増してきた極右、ネオナチや、その予備軍であるスキンヘッドやフーリガンが挙げられるのはもちろん。
驚くことには、ユダヤ人の中にもホロコーストは無かったと真顔で主張する集団もいます。
ユダヤ教超正統派は、ホロコーストはパレスチナ人のせいだと公言して、反シオニズム、イスラエル建国には絶対反対の立場。さらに正統派の中の極右派はホロコーストの存在そのものを否定しています。
映画の舞台となったロンドンには、ユダヤ教超正統派の中の最右翼ナートレイ カルタの拠点があり、抗議活動が活発です。

歴史や物事は見方を変えれば何とでもなってしまうのでしょうか。ましてや時間が経つと風化して、隙あらば事実は捻じ曲げられてしまう危険があると感じます。