スギノイチ

おんな極悪帖のスギノイチのレビュー・感想・評価

おんな極悪帖(1970年製作の映画)
3.2
大映が経営末期に突入した頃なのでエログロ風味、かつ外道しか出てこないピカレスク時代劇。
その中でも、やはりというかなんというか、一番強烈なのは岸田森。
処刑中毒・猟奇趣味・女狂い・気に入らない臣下を弓の的にして遊ぶ等、基本的な暴君ムーブも抑えつつ、人の心の機微にも敏感なのでタチが悪い。

当時20代の田村正和は、後年のインタビューでも自虐している通りお世辞にも演技派とは言い難いが、「とんでもなく男前の剣士」という、上げに上げられたハードルを難なく超える美男ぶりを発揮。
岸田森を殺すシーンが特に素晴らしく、廊下を逃げ回る岸田森を追い回して血飛沫に塗れる撮影が美しい。
基本的にはキワモノ時代劇ながら、こういうシーンのおかげで、東映の異常性愛時代劇より地に足ついている感じがする。良くも悪くも。
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