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ずっとお城で暮らしてるのSSDDのレビュー・感想・評価

ずっとお城で暮らしてる(2018年製作の映画)
3.3
■概要
1950年代のアメリカ。広大な丘の上の屋敷に住む姉妹と車椅子の叔父。代々裕福だった一家が毒殺によりほとんどが殺害され、叔父はその先に足を萎え、長女は裁判にかけられるが無罪だった。村人達は妬みなどの感情から一家を村八分にしているのだった…。

■感想(ネタバレなし)
お城のような屋敷に囚われたかの如く住む人々は、"マローボーン家の掟"を想起させる作品。
叔父は毒殺事件に囚われて過去を見つめ続け、姉は笑顔を絶やさない、妹は魔術に傾倒しこの生活を壊すまいと願掛けをし続ける。

奇妙で平穏な日常をいとこの来訪から崩れていき、静かに狂気が進んでいく様をじわじわと描いている。
キャラクター達が狂人達なので正直感情移入先がなく、まともに交流できるわずかな人間くらいしか常人がいない。

気味の悪い倒錯した会話や、ずれている感覚を楽しみながら変化していく狂気を楽しむという、なんとも悠長な流れの作品になっているため、短めの尺で没入感は…好みが分かれるところ。
自分には物足りなさを感じるものでした。










■感想(ネタバレあり)
・原作未読だが、映像化としては弱い
ファンタジーな世界観を持つ妹が魔術に傾倒しているのを視覚的に現実と混ぜて現実と虚構の界が曖昧になるような白昼夢のような映像を混ぜて良かった気がする。

地味にでも邪悪な物を埋めた場所が青白く光っていたり、木に本を串刺しにした釘が燃えるように光っているという現実ではないエフェクトを混ぜるだけでかなり印象が変わる作品だったと思う。

なぜ父と母の姿だけしかやらなかったのだろう。

特にラストシーン前では2人きりになってしまった姉妹の寝て起きた場所は月面のクレーターの中であるべきだった。

姉も妹と同じ世界(狂気側)に行ったのだと分かるように、月のお城に住む2人として低重力で屋敷を跳ね回るような映像だったらかなり評価は高かったであろう。

理屈や整合性はストーリーラインでしっかりとれているのだから映像くらいもう少し遊びがあってよかったのではないかなと思う惜しい作品でした。

いとことか悪魔に見えて目が光るとか、結界が破壊されて地獄な使者のような村人が神殿を壊すという壮大な映像を観たかったなぁ。
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