TaiRa

牝猫たちのTaiRaのレビュー・感想・評価

牝猫たち(2016年製作の映画)
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社会の枠の外側に行ってしまった人たちを描き続ける白石和彌のロマンポルノ。低体温な人物たちとは裏腹に、街の灯は鮮やかに煌めく。JJばりのレンズフレアと深夜の池袋。

主人公の背景がほとんど説明されないが、それでも此処から抜け出せない何かがあると言う感じ。少ない情報で、背負った業を浮かび上がらせる。他の人物たちも背景説明は最小限。濡れ場を叙情的に描くのでエロさはそこそこ。恐らくその日偶然吹いたであろう屋上の風が劇的。何処からともなくイイ顔の役者が出て来る楽しさ。ベビーシッターの彼や子供の面構えの良さ、一瞬映るタクシー運転手の気味悪さ、そしてとろサーモン。無名役者、不穏なモブ、芸人、これらの使い方に井筒和幸のそれを思い出す。30年後くらいに観直せば、2016年頃の池袋がこんなであったと思い出せる、ノスタルジー映画予備軍。
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