しゅん

牝猫たちのしゅんのレビュー・感想・評価

牝猫たち(2016年製作の映画)
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街自体が主人公かのようにひたすら池袋の風景が映され、新文芸坐常連にはおなじみの線路沿いの公園も幾度か登場する。たしかに、孤独や情けなさや薄汚さを表現するのにこんなに御誂え向きな場所もないだろう。自分も昔は池袋に嫌悪感しか抱いていなかったのに、埼京線ユーザーになってからはなんともいえない愛着を感じるようになっていて、それと同質の情感を携えた映像に暖かさや優しさを感じた。

冒頭の「全ての牝猫たちに捧げる」という言葉を裏付けるかのように、カメラは三人の女たちに寄り添う。恐らく、藝術性を損なってでも、彼女たちのリアルなエモーションを表現することに力を入れた作品なのではないか。緊縛シーンはもちろん良かったが、卑しいけどどこか憎めない風俗店店長とのセックスシーンが阿呆らしくて好きだった。
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