「初恋は実らない」
そんな言葉を思い出す。
どこか怠惰で美しい北イタリアの風景の中で繰り広げられる、ギリシア彫刻のような美少年と青年のひと夏の恋。
それぞれが逡巡しながら、迷いながら少しずつ距離を詰めていき、ついに甘美な悦びを共有する。しかしその頃にはもう別れの日はすぐそこまで来ていた……
あの夏の日の余韻を打ち消すように降る雪、一本の電話。
終わった恋に涙しつつ暖炉の炎を見つめる少年の表情をじっと映しながら映画は終わる。
これは作者の「かつてあって欲しかった、実際には存在しなかった恋の物語」なのだろうか、とふと思った。
蛇足。アーミー・ハマーの、文句なしに男前なんだけどどうにもおっさん臭い感じに妙なリアリティがあったw