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君の名前で僕を呼んでのakqnyのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.7
この映画を見て改めて思ったが、恋とは、男女の関係性とは全く別の次元に存在する、もっと複雑で到底理解できない高貴なものであるのではないか。
その証拠に、人類ははるか昔から恋について語り歌い表現してきたが未だ恋とは何なのか、そもそも存在するのか、どんな感情でどんな時に発生するのかわからないままである。

そのわからなさこそ、人類に想像力という最も大きな力を与え、文化芸術技術を育んだといっても過言ではないと思うし、だからこそ特別でロマンがある。

ある時からいつもより広く深く相手を知りたいと思い、相手と自分との存在の距離を愛おしいと想えるのなら。
それを恋と定義するのなら、いかなる形の友情や関係性のその先にあるものであり、必死に見つけようと思っても見つけられないものなのではないか。

そう考えると恋はすべきものだとか、恋の関係性を生殖の役割で定義するのはあまりにナンセンスでロマンがない。
たまたま恋をして、その恋の相手が異性なのか同性なのかでしかなく、生物として劣っていることは決してないのだと思う。


北イタリアの鮮やかな緑と光と、突然やってきて夏の終わりに去っていく恋、それを包み込む家族の暖かさ。
前評判通り素晴らしい作品。
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