あつき

君の名前で僕を呼んでのあつきのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.9
試写会にて。
まず、こちら側のトラブルがありながら迅速な対応をしていただき、会場に招待してくださったFilmarksスタッフの方に感謝します。

括りとしてはLGBT映画になるのかもしれないが、これは誰しも経験するような葛藤や喜びや切なさの物語。そういう所まで昇華しているため、色んな人に勧めたいと思える作品だった。
主演二人の演技は特にセリフの無い場面で引き込まれ、夏の北イタリアの強い日差しと自然の中の二人はどこを切り取ってもポスターになりそうなほど画になり、ピアノのBGMや主題歌やタイトルの出方も絶妙だった。

試写会終了後に流れたオリバー役のアーミー・ハマーのインタビュー映像中の、
「映画は世界を変えられないけれど、人間の観点を変えることは出来る。この映画をきっかけに親にカミングアウトしたというツイートを見たが、一人の人生が変わったことを俳優として光栄に思う。」
という発言には非常に考えさせられるものがある。このように一人の観点の変化の連鎖は、世界の観点を変えるのではないか。また、親という所で言うと、劇中のエリオの父親が終盤エリオに向けて語る価値観と人間力の深さは尊敬に値し、理想の父親像になった。

と、ここまで書いていて感じたのは、セクシャルマイノリティかそうでないかというのは、そもそもそこを深堀することすら意味を成さないのでは?ということ。
エリオの目の前にオリバーが現れ出会ったように、そういった巡り合わせが人々の経験の中にあったかどうか、あってもそれを妨げる心が働いたかどうか。それだけの話。これはきっと、スポーツやビジネスで大きなチャンスが訪れたとき、挑戦するか否か、のような関係の話と同じなのではないか。

レビューが飛躍してしまったので、オリバーの口癖を借りれば、"後で"また観なおすことにしたい。
あつき

あつき