チィ

君の名前で僕を呼んでのチィのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.5
彼らの空間には独自の時間軸があり、せかせかとした都心の映画館で上映されるこの映画は時が止まったかのようだった。青い空、ジリジリと射す日差し、読書と水遊び、南仏の風景は現代とは思えず、バカンスを過ごす彼らは神話に出てきそうな彫刻のような美で包まれていて。私たちには美を眺めることしかできない、そんな金縛りにあったような感覚。

エリオの両親の寛大さ、一度吸収してから優しく諭し促すあの懐の大きさを現代の窮屈な空間で観る私たちは羨望の眼差しで見ているんだろうな…きっと私だけじゃなく満員の劇場にいる誰もがオリヴァーのようにこの少年の未来を案じ、彼の成長の棘とならないように丁寧に大人の一歩を踏み出す手を差し伸べたいと願う。と同時に、ティモシー・シャラメのこれからの俳優としての成長も楽しみ。
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