あい

君の名前で僕を呼んでのあいのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.3
【楽園は北イタリアにあった】

雰囲気や絵面の美しさを堪能するつもりで鑑賞。

期待以上の美しさでした。
果樹園のある庭にテーブル出して日差しを浴びながらランチ、美しい川で遊泳、静かな無人の湖畔で読書、木影でギター弾いてお昼寝……
これ以上に魅力的な生活があるのかという気持ちで眺めていたら、あるんですねえ
素敵な異国人と同居することになりました

美しい街で一夏を過ごす美しい少年のもとへ美しい青年がやってきて美しい恋愛をする。

80年代設定のゲイの映画なんて、風当たりの強い描写が多く辛い話だと思ってましたが本作はリアリティのあるLGBTの作品というよりは現実離れした神話的とも言える雰囲気の映画でした。

世間の常識など関係なく、2人きりの幸せな時間がひたすら美しい。

あの人に嫌われてないだろうか、仲良くなるにはどうすればいいのか、悩みは男同士への問題ではなく単純に相手にどう向き合うのかというごく一般的なもの。
古代ローマ時代から同性愛へ寛容だったイタリアの地というのが、この葛藤の少なさのヒントなのかなと解釈しました。

この映画が描きたかったのは世間からの荒波ではなく単純に、忘れられない一夏の恋というシンプルなものだったんだろうな。

とはいえ流石に街中でラブラブ出来ず、
「Were you happy that I came?(僕が来て嬉しい?)」
「Enough to want to kiss you(キスしたいくらいには)」
と言葉でイチャつくところもお洒落だな〜と思いました。

多国語を操り優れた音楽の才能を持つ少年エリオと、社交性と知性のある青年オリヴァー、2人の会話も詩的で本を読み込んでいるのであろうやり人達のやり取りっぽくてアトラクティブでした。
タイトルにもそれが表れてますね。

最後のエリオと父親の会話に全て詰まってました。
あい

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