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君の名前で僕を呼んでのperoのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
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若く美しいヒュー・グラント主演の「モーリス」、悪魔的に美しいディカプリオ主演で、ランボーとヴェルネールの退廃的な愛を描いた「太陽と月に背いて」、まだウブなジェイク・ギレンホールとヒース・レジャー主演の「ブロークバック・マウンテン」。

有り難い事に、BL映画はいつまでも若く美しい俳優を耽美に記録していてくれる。

1983年北イタリアの別荘で両親と過ごすエリオ(ティモシー・シャラメ)は、考古学者の父親の手伝いをしにアメリカから来た博士課程の学生のオリバーに複雑な感情を抱く。
はじめは戸惑うエリオだが…

きっと歳をとったら見る影もなくなってしまいそうなティモシー・シャラメの若い時にある一瞬の危うい美しさ。ギリシャ彫刻が動き出したようなその佇まいに反比例するような現代的な雰囲気、そして敢えていうまでもないくらいの圧倒的な演技力。
恋するもどかしさ、相手と1つになってしまうような愛を、若さゆえの不器用さでぶつかっていく様子に、初々しく生々しくドキドキとさせられる。

脚本、俳優もさることながら「ブンおじさんの森」などの撮影監督をしたサヨムプー・ムックディプロームの撮る、独特のカメラワークとみずみずしい映像もこの映画のキモだと思う。

北イタリアの美しさ。
美味しそうだけどエロいアプリコット。
青年と少年の愛というローマ、ギリシャ時代への目配せ。
両親のインテリゆえの、時代を超えた寛容さ。
なにを切り取っても見飽きる事がない。

原作も読んだけれど、珍しくそれを超える広がりのある映画。
何度も見返したい。

続編も作るらしいけど、どうせならこのまま自分の妄想でエリオとオリバーを生かしていきたい。
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