海

君の名前で僕を呼んでの海のネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最高としか言葉がまずでません。
スコアは満点です。

偏見で悪いけど海外のこういう系の恋愛ドラマってすごい複雑で少しドロドロしてるイメージがあるから、なんか男女入混ざっての恋愛大変!って感じに仕上がってるのかと思ったら全く違った。
最初から最後まではオリヴァーはエリオのことが好きだし、エリオはオリヴァーのことが好き。2人とも好きすぎて純粋すぎて物語の始まりが遅くて、終わりが早かった。2人の純粋な好きが思いっきり詰められた物語だった。

2人の出会いの「エリオ、オリヴァー。オリヴァー、エリオ」とお父さんが紹介する場面のこのセリフから、2人の物語は始まっていたんだなって思うともう純粋すぎて涙が出てくる。

オリヴァーは最初からエリオのことが好きだったけど、エリオには届かなかったし、それに無理やり伝える気もなかった。男という性別の壁があったから。ゲイのカップルが家に来て、オリヴァーの寂しそうな後ろ姿が廊下にうつって、服の色も対象的になっているのがすごく印象的だった。年が上だから社会を知ってる、エリオがこのまま自分といると幸せになれないこともしってる、だから自分から別れを告げた。ほんとうは一緒にいたかったのに。

エリオは純粋に本当にオリヴァーが大好きだった。自然に惹かれていった。オリヴァーは典型的なアメリカ人だけど、どこかイタリア的で誰とでも馴染む社交的で自信のある性格。対照的にエリオは1人で作曲をしたり、決して非社交的なわけではないけど、まわりが楽しくやっていても自分の世界にいる、内面的な性格。2人の性格が真逆であるからこそ惹かれあったし、似たような性格だったらうまくいかなかったし惹かれ合うことはなかった。真逆であるからこそ反発して、真逆であるからこそ想いあったときの絆が深かった。エリオは男だからという壁を感じているのではなく、本当に純粋にオリヴァーが好き。好きすぎて、自分のが好きなんじゃないか、好きが溢れすぎてつらい、そんな感じだった。オリヴァーは受け止めることはできるけど、このまま進んでいく未来をもう知っている。エリオは知らない、終わるなら始めない方がエリオを傷つけない。だからなかなか手を出さなかったし、大切に大切にした。

お母さんがドイツ語で本を読むシーン、エリオだけでなくお父さんも話をきいていて、最後のお父さんとの会話のシーンを思い出すとどんな気持ちで〝Freundschaft〟を聞いたのかなって思う。お父さんはここのシーンで何故か〝friendship〟と小さい声で言っていたことがあとになってわかるところで鳥肌がたった。friendshipという言葉をつかうと、もう友情以上は閉ざされてしまう。お父さんにも同じ経験があったから、エリオに話す時にfriendshipと話し、友情以上のもの、と話直したのだなと。お父さんとお母さん素敵過ぎてもう、なんていい人達なんだろう。だからエリオもいい子なんだね。そっと寄り添って、必要以上は何もきかない。息子の表情ですぐわかるし。親って偉大。

別れのしーん、あえてなにもいわない。美しい。お互いもう分かりきってるからだね。I love youとか言うのかなって思ったけど作中で2人ともまっったくいわない。そんな安いメロドラマみたいなこといわなくてもお互い伝わってるもんね。
電車が走り去っても、手も振らない。あえてエリオの表情が見えないのは、そういうことですよね、はぁ、、つらい、、胸が苦しい。美しい。

オリヴァーが電話のラストで〝I remember everything〟っていうけど、日本語訳で直訳すると「全て覚えてる」のはずなのに「何一つ忘れない」って出たところに鳥肌。いい仕事しすぎです。エリオが暖炉の前でずっと泣くんだけど、みんなは食事の準備をしていて時間は経過していく。最後にお母さんがゆっくり「エリオ」って呼ぶところで、、たまらない、、泣いた、、 ハエずっといて、邪魔だなとか最初は思ったけどいやほんとずっといるなぁおかしいなぁって思ってたら、エリオにハエがとまるのは初めてなんだよね、最後にして。近くには飛んでいたけども。ハエは熟した果実にしか止まらないから、エリオが一歩大人になったってことなのかなって。その表情はひと夏の〝Everything〟を思い出してるんだね、エリオ。はぁ、尊い美しい。
深読みしすぎだし原作無視だから完全に妄想だけど、オリヴァーは実は結婚する予定なんかなくて、これからもずっと結婚しなかったらそれはそれで美しいなって思うし、エリオのお父さんと同じように〝friendship〟に縛られて生きていくのそれはそれで美しいからもうなんでもいいからみんな幸せになってくれ。

エリオもお父さんと同じように、結婚して、また息子のひと夏の恋を見守るのかなって思うともうつらい。美しい。胸が苦しい。ありがとう、ありがとう。

パンフレットこれは必ず手に入れたい。
どこも売り切れや~(;_;)
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