NaitoMami

君の名前で僕を呼んでのNaitoMamiのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0
日本で公開される前から海外のpostを見るたびに心ときめいて、
ずっと観たくて仕方がなかった作品。

期待を遥かにうわまわる、圧倒的な美しさと完成度。
132分という長さにもかかわらず、ずっと観ていられる。いつまででも観続けたい。

映画を観ているというよりは、まるで私もあの館に招待されて、あのきらめくひと夏を一緒にすごしているかのような幸福な錯覚におちいる。

冒頭にジェームズ・アイボリー の名前を思いがけず見出して「おお」と感激。
日の名残り、眺めのいい部屋などの名作がよみがえってくるほど、シーンひとつひとつの描き方が、どこをとっても彼らしい。

椅子に掛けたエリオのシャツが、開けはなった窓からの風に微かに揺れるのを静かに映す場面とか…なにげないような瞬間が本当にいい。

LGBTとかゲイという問題ではなく、描かれているのは性差を超えて誰しもが経験すること。身に覚えのあること。
恋い焦がれる切なさと、愛し愛される無上の歓び。
これまでの自分が全く取るに足らない存在に感じられたり、背伸びしても手を思いきり伸ばしても手に入れられないことへの憧憬と焦燥も。

parce que c'etait lui.
parce que c'etait moi.
彼だったからこそ。私だったからこそ。
出会えたこと、互いを見いだせたことの幸福。
それこそが恋すること、愛することの醍醐味だ。
たとえそれが悲しい結末を迎えるとしても。

痛みを葬るな。喜びを忘れるな。
なにひとつ忘れない。

余談だけど、オリヴァーのあまりにも長く真っ直ぐな脚と、エリオが着ていた顔の柄のシャツに目を奪われた。

それにしても、才知を兼ね備えたエリオの美しさ!
知性と包容力あふれるエリオの両親の言葉やふるまいも感動的だった。
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