YurikoOyama

君の名前で僕を呼んでのYurikoOyamaのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画館で見終わってから本当にずっと余韻と共に生きている心地がしている。メインテーマ聞くだけで胸がえぐられる。
エリオ、オリヴァー、二人を包む北イタリアの夏のことを考えている。
音楽・情景・役者さん・全ての調和が本当に素晴らしく、美しい。
何回も予告を見て、ソッコーでパンフレットも買い、原作も読もうと即座に思った映画は初めてです。たぶんあと二回はみにいく...

非現実感さえある美しい北イタリアの夏の情景、暑さをしのぐ水しぶき、
「Later,」が口癖の少しずるい年上の男性、才知豊かで自由な美少年。
色々な条件が重なって一夏の恋は始まる。

ティモシー・シャルメの憂いを帯びた眼差しや仕草が終始、エリオというキャラクターの魅力を爆発させている。
オリヴァーはずるい。バレーボールのシーンでサインを出したじゃないか?て、ずるい大人はあんなさりげなく好意を、わからないように示せるのだ。(ちなみに私は鑑賞中その時から好きだったなんて、気づかなかった)
この物語の良いところの一つに、エリオの彼女ポジションの女の子も出てきて、その恋を同列に描いているところがある。自分の属性は問わず、ただ人が人を愛しただけ、という話の軸がありそれはとても自然なことのように感じさせる。

エリオが素直な恋心を告げたあと、秘密の場所でのキスシーン。オリヴァーの葛藤がありながらも踏み出すところはドキドキしてしまった。
「I love this」「Us you mean?」(セリフ曖昧です)
このシーンでも、あの空気感や美しい情景がその一歩を踏み出させているのかと思わせられる。
こんな瞬間が最近の自分の人生にあっただろうか?

エリオのファッションもすごくよかった。
二人が初めて愛し合った翌日のエリオは、これまで裸にショーパンや半袖にショーパン率が高かったけれど、オーバーサイズの長袖カットソーを着ている(!)え、なにかわいい・・なにこの気持ち・・と映画鑑賞中に一人でうろたえていたのだけど、レビューを見てこの姿を萌えの爆弾と仰っている方がいてすっきり納得。
まるでオリヴァーのぬくもりを閉じ込めたいのかのように、秘密を隠すかのように。このエリオの気持ちに沿ったスタイリングをしたスタイリストに全力で拍手を贈りたい気持ちです。
終盤シーンの顔のプリントのシャツも良い。
ちなみにティモシー・シャラメくんがこの翌日の二人の立場が逆転するところが大好きなシーンだと言っていたけれど、私もこのダボダボシャツのシーンが大好きで、行動からエリオの良さが滲み出ていたなと思う。

後半、バス旅行での滝のある風景で「Mystery of Love」が流れた時に、
あまりの美しさと色々な感情に胸を打たれて、自然に涙が出てきてしまった。音楽はSufjan Stevensがこの映画のために書き下ろしたものとのこと。エンディングで使われている"Visions of Gideon"も合わせて、映画に本当に素晴らしい曲だけど、この映画と合わせて聞くと神がかってる。Mystery of Loveに出てくるアレクサンドロス大王とヘファイスティオンはこの物語の鍵となるのがまたにくい。オリヴァーがギリシャ神話の話を書いたというのも。この映画そのものをギリシャ神話と絡めるところがまたツボすぎて美しさと神秘性を増している気がする。

エリオが一晩中起きてオリヴァーを待っているシーンも美しくて好き。
そのあとの激しめのピアノに合わせた”traitor!!!”(裏切り者!)のとこも好き。

最後のティモシー・シャラメくんの長回しの演技は素晴らしかった。
苦しかった。
可能なら二人が一緒になる未来が欲しい、そう願わずにはいられない。エンドロールで流れる曲を聞くだけで胸が苦しい。
パンフレット曰く続編があるかもとのことですが、映画はリアルである必要はないのかなと思っていて、もう少しだけファンタジーを見させて欲しい。

エリオという魅力的なキャラクターを作っている要素の一つに、
エリオの家族がある。
与えられるものを全て与えられている気がする。
もちろん一夏のこの経験を踏まえて。

エリオの、感情をメモに書き留めるところや、楽譜に書き込んで作曲しているところ、自由に自然と一体になって過ごすところ、伸び伸びとアナログに生きているところが好き。時代が時代だから当たり前なのだろうけど、現代にあってもあんな生き方をしたらなんだか「生きている」という感じがしそう。

この映画をみて、誰に感情移入するだろう?と考えた。
おそらくエリオに感情移入するのが筋書き通りなのだろうけれど、
自分がエリオになってオリヴァーに恋したいという感情ではないような気がする。
体も心も全部エリオになって物語の中に入り込むか、
もしくは北イタリアの情景のようにただ二人を見守る何かになりたい、というのが正しいかもしれない。