かいり

君の名前で僕を呼んでのかいりのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
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本当に美しい。
北イタリアの避暑地、行ったことがないはずのその風景が、自分の記憶、懐かしさと繋がって、二人の感情が不思議と心を直接刺してくるようだった。
愛も恋も日常にあって、ハプニングもサプライズもなくたってこんなにもロマンティックで美しくて愛おしい。

自転車で一緒に出掛けるだけなのにどうしてあんなにドキドキするのか。自分がおかしくなったのか。そう思っても止められない欲望。青春期の少年が感じる全ての感情が愛おしくて羨ましかった。

苦悩、胸騒ぎ、新しく人と知り合うぞくぞく感、すぐそこに幸せが待ってるという期待感、相手の気持ちを誤解して嫌われたくないためあらゆる行動の裏を読もうとあたふたすること、自分と周囲の間に立てる何枚もの薄い衝立、単純だったものをあえて複雑で分かりにくくしたいという衝動。全てが恋の美しさを描くことに従事していた。

ティモシーシャラメの演技力には目を見張った。特にラストシーンの長回しは圧巻。エリオがそうであったように、自分の頭の中もグルグル回りに回って、最後は失恋したような感覚で映画館を出た。

Mystery of loveが最高に質感に合ってる。他の音楽も素敵だった。

とても好き。
かいり

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