sghryt

君の名前で僕を呼んでのsghrytのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.5
-Why are you telling me all this?
-Because I thought you should know.
-Because you thought I should know?
-Because I want you to know...Because there is no one else I can say this to but you.

男と男の愛ではなく、人間と人間の愛を描いた作品。だが、愛し合っている者同士が一緒にいられることは少ない。実定法が自然法と勘違いされている社会では尚更である。だが、どんな環境であれ、いずれ彼らは引き裂かれる。やがて死がやって来る。真の苦しみは敵ではなく、愛する者からやってくる。

コインを投げるが、机に弾かれて床に落とされる。裏か表か、結果を見ることもできない。裏が出た人間はそれでも幸福である、少なくともコインは投げられたのだから。ああ、なんという切なさか!コインを投げることすら許されないとは!

あるいは、肉体と肉体の愛を描いた作品。愛とは行為であり、直截的には愛撫である。肉体を伴わない愛はない(老夫婦が眼差しを交わし、声を交わし、そっと手を組み交わすことも肉体的な愛撫である)。

それでも美しい身体を求め合う時期は限られている。限られているからこそ尚美しい。彼らの愛が男女の愛より美しいのは、それだけ彼らの肉体が美しいからである。こんなに美しいものだとは思わなかった、人間の身体というものが!しかも、それが生きて動いているのだ!ギリシャ以来続く少年愛の伝統が実感できようというものだ。
sghryt

sghryt