ヨウ

君の名前で僕を呼んでのヨウのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.1
男女の純愛ラブストーリーだと思って鑑賞したので「あ、そっちの方か。」と少し驚いてしまった。煌びやかなイタリアの風景の中で映し出される、自分の気持ちに正直になれずに蟠りを抱えた青年・エリオ。明るい雰囲気と悩めるエリオの心境が対照的に描かれていると感じた。特別なあの人との特別な関係を結んだ一夏の出来事は何かしらの美が見出される。バイセクシャルの複雑な事情を表現し、登場人物たちの様々な思いが交錯することによって紡ぎ出される愛の物語。皆が絶賛するほどにはハマれなかったけど、高尚な作品であることは間違いない。ティモシーシャラメのカッコ良さに憧れるばかりだ。

「お前と彼の間には知性だけではない全てがあった。彼は善良だ。お互いを見いだせて幸運だった。お前も善良だから。」
「思ってもいない時に自然は狡猾な方法で人の弱さを見つける。そんな時は私がついている。」
「お前たちは美しい友情を得た。友情以上かもしれない。羨ましいと思う。多くの親は早く終わらせたいと願い、息子が冷静になることを祈る。私はそういう親ではない。」
「人は早く立ち直ろうと自分の心を削り取り、30歳までにすり減ってしまう。新たな相手に与えるものが失われる。だが何も感じないこと、感情を無視することはあまりに惜しい。」
「お前の人生はお前のもの。だが忘れるな。心も体も一度しか手にできない。そして知らぬうちに心は衰える。肉体については誰も見つめてくれず、近づきもしなくなる。」
「今はまだひたすら悲しく苦しいだろう。痛みを葬るな。感じた喜びも忘れずに。」

エリオの父親の言葉一つ一つに重みを感じ、我が心に強く響いた。本当に良い親子関係だ。
ヨウ

ヨウ