ヴぇる

君の膵臓をたべたいのヴぇるのレビュー・感想・評価

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)
2.4
良くいえば現代のティーン世代における映画の入門編ともいえるラブロマンスだ。
2000年代初頭よりその時代においての若者向けの恋愛映画が作られて来た近年でのヒット作で、興収面において優秀な記録を収めた。

ただ、恋に恋するティーン世代や映画を見始めた子供達が見る映画であり入門編なのだろうが、成人以上は見るべきではないと感じる。設定や脚本には甘さが目立ち、筋道としてやや強引さを感じる。
また、致命的な欠点として誰一人として魅力的なキャラクターが居ない。人物像の掘り下げがほぼ無いため何故この様な性格なのか掴みづらいので感情移入がしづらいのだ。余命幾ばくかのヒロインに対して酷ではあるが、散々使い古された設定でこの程度では涙は誘えない。

加えて言えば、序盤から主演の子の口調が痛いのでそれに慣れるのは非常に困難を極めるし、笑顔が多すぎる演技は求められているのか知らないが余りにも演出がかっていて自然には見えない。薄ら寒い演技指導が透けて見える程だ。おかげで、女子高生のガワを被った中身は40~50代のおばさんなのではないか?と錯覚するほどだ。
また、2人が距離を縮めて行くまでの過程はハッキリ言って苦痛だ。特に魅力がある訳でもなく、映り方次第ではヒロインの動きはセルフィッシュに見えてしまう。
誘う理由も強制力が弱く設定の甘さを感じるし、ヒロインがクラスの人気者で男性が不人気なのは設定からミスをしている様に思う。

ただ、亡くなってからの畳み掛けは余計な事をせずオーソドックスに進めたのは好感だ。また、余命を全う出来ると信じているこの手法は素晴らしい技術的脚本だと思う。その点だけは評価できる。

ただ、やはり総評としては低評価にならざるを得ず子供騙しと言われても仕方の無い出来だった。ハッキリ言って仕舞えば凡作の中の凡作だ。
ヴぇる

ヴぇる