TaiRa

満月の夜のTaiRaのレビュー・感想・評価

満月の夜(1984年製作の映画)
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初見時に爆睡かましたので再見したが、半分以上初めて観るシーンだった。寝過ぎ。

ロメールの中でもかなり登場人物への共感性低い、というかどいつもこいつもバカ野郎じゃないか。郊外で同棲してるソクバッキー(死語)な彼氏に嫌気がさして、パリにも部屋を借りる女。その女にちょっかい出し続ける妻子持ちの男友達。二つの部屋と二人の男の間をふらふらするどうしようもない女の11月から2月までの記録。やっぱりロメールだから衣装や小道具、部屋の美術まで、どれも気が利いてて面白い。彼氏に身勝手な報告する女は、ここぞとばかりに透け透けランジェリー姿で登場し話を持ち出すのでズルくて笑える。鏡の前で男友達といちゃつく女がフレームアウトして鏡に映らない場所へ行き、距離をとって会話を続ける場面も地味に良かった。鏡で二つに分裂する人物たち。あと二人の人物が椅子に座って向かい合いながら話す場面で、片方が相手の椅子の横に移動して跪く動作が人物を変えて反復していたりする。一つのデザインされた動作に意味を持たせ再利用する。女が何も起きない退屈な時間を経験する場面は本当に何も起きない。ただ移動しているだけの場面も省略せず、二つの場所を往復する女の面倒くさい生き方を見守り続ける。人を愛することも、他人と関係を築くことも下手くそな人間は、答えにたどり着くのが4ヶ月くらい遅いのでハッピーエンドはいつまで経っても訪れない。
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