U子

笑う故郷のU子のレビュー・感想・評価

笑う故郷(2016年製作の映画)
3.8
おもしろかった。
冒頭のノーベル文学賞の受賞式で、
さんざんノーベル文学賞の文句を言いながら、ちゃっかり賞はもらうというのがこの作家の性質をよくあらわしている。
ニヒリストでありながら、権威にも弱い。
めちゃくちゃ人間らしい人である。
故郷のことだけを書いてきたのに、
故郷から逃げ続けた。
老いのせいか?故郷からの手紙にまんまと乗ってしまった。名誉市民になり、
機嫌よく過ごしていたのもつかの間、
故郷の人々からしっぺ返しを食らう。
言葉では芸術を語るけれど、
若い娘が言い寄れば、ちゃっかり抱いたり。ゲスい。
故郷の人々を最後はののしり倒す。
そんな作家に待っていた結末。。。

作品と作家の人間性は切り離して考えるべきものだと私は思う。
どんなゲスい人でも、作品が素晴らしいならそれは評価されるべきだ。
しかし描かれている当事者からしたら
たまらないものがあるのかもしれない。
批判的に描いていても、そこに愛があればよかったのかもしれないが。
しかし、どんなことが起きようとも、
全ては作家のネタになってしまう。憎いところだ。
U子

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