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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のclydebarrowのレビュー・感想・評価

4.5
ヒロインの小明を演じた女優さん、清楚なのに謎めいていて、大人びた陰のある感じがとても良かった。
主人公を演じた俳優さんがリマスター版の公開に合わせた来日した際、インタビューで「当時は小明の気持ちが全然わからなかったけれど、この年(30代?)になってやっと少しわかった」と語っているが、まさにそれがこの映画の軸なのだと思う。
ハニーと小明、この街を出てここではないどこかへ行こうとした二人の夢は潰えて、街は静かに閉じたまま時だけが流れる。50年代台湾の閉塞感と若者の鬱屈を見事に切り取った映画だと思った。
夜の闇とぼんやり灯る店や家の明かりがとても美しくて、残酷な物語をどこかおとぎ話にように見せている。
長いけれど観てよかった。
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