YUKI

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のYUKIのレビュー・感想・評価

4.1
恋愛で自分の理想押し付けまくった結果、めっちゃ相手を傷つけちゃうっていうのを丁寧に丁寧に描いている。

この映画は恋愛の行き違いというテーマが一番大きいと思うが、「落第」という主題もまた大きい。
そもそも「落第」から始まるが、これを主人公のラストと繋げるのは少し安易すぎる。
この落第は社会との不一致から生まれるもので、転落ではなく違和なのである。
その違和から始まる学生生活において、小四は不良になっているようにも見えるが、その実は違うのではないか。
小四は常に微妙なすれ違いを起こしていて、それは自発的でもないことが多い。
だから小四は転落しているのではなく、運命に収斂しているというか巻き込まれている感覚が近い。

だからこそ最後の行為は、違和が最大化し、極めて自発的であることに意味が出てくるのである。
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