1991年。 監督はエドワード・ヤン。
日本では”特殊な会社”が権利を持っていて、上映やDVD化が出来なかった作品。(VHSとLDはあり)。 今回25年ぶりに上映。 ちなみにアメリカではブルーレイ化されている。 詳しい事情は知りませんが、日本は非常に残念な状況です。
全部で4時間ある大作。
1961年に実際起こり、当時思春期だったエドワード・ヤン監督に多大な影響を与えた事件をモチーフにした作品。
台湾の14歳だから中学生ぐらいの子供たちの抗争をメインに、中国本土から
台湾に移り住んだ家族の葛藤などを、当時の台湾の状況に重ねて表現して
いて、とても文学っぽい。
主人公は5人兄弟なのだが、もうその家族構成と名前だけで軽く混乱する。
学校の仲間たちや敵対するグループの少年たちも見た目に特徴がないし、
名前も同じようなのが多くてもうカオスでした。
主人公は小四(シャオ・スー)と呼ばれているが、本名は張震(チャン・チェン)で、人によって呼び方が違うので、この辺も大変。 もう名前がプリントされたTシャツ着ててほしい。
ヒロインが美少女でファム・ファタールというか魔性の女的なキャラクターなのだが、どう好意的に見ても魚のエイにしか見えない。 自分の心が歪んでるんだと思って4時間ずっと可愛く見える様に努力したのだが、最後までエイだった。
エドワード・ヤン監督の『恐怖分子』のヒロインはとても美しかったので、これは非常に残念。監督、他にいなかったんですか?
少年たちがプレスリーの歌を歌うシーンがあって2人の少年が歌うのだが、どちらも素晴らしい声をしていて、意外にも音楽映画の要素もあったのかと嬉しかった。坂本龍一氏が自身の所有するスピーカーを使って、いい音で上映する機会を儲けているのにも納得。 サントラを手に入れて聴いてみたら、やっぱり最高でした。
エンターテイメント性は低く、非常に難解な作品だと感じました。 『恐怖分子』は映像もスタイリッシュだし、登場人物たちにも魅力があってすごく好きだったのですが、これは自分には理解出来ない作品でした。 名作の魅力がわからない自分がとても残念。
背景を勉強して何度も観たいので、DVD化を切望します。