このレビューはネタバレを含みます
2023/07/16鑑賞。68点。
イブラヒモビッチとトレゼゲとベッカムがいる時代。
イギリス。
大学生のサラールは、入院した父・サビールの経営するケバブ店を1人で切り盛りすることに。
店のある地域は、ジャンキーや酔っぱらいが屯する治安の悪い場所。
初日から客同士の喧嘩によって店を破壊され、警察がやって来たのは通報から3時間後で苛立ちを隠せない。
そんな息子を心配してサビールは退院して店に立つ。だが、閉店後にやってきた4人組の酔っ払いによってサビールは地面に押し倒されて殺されてしまう。
店の奥にいたサラールが駆けつけた時には、サビールは通りで冷たくなっていた。
サビールとサラールがパキスタンから渡英する前、サラールは神経ガスに体を侵されたことがある。そのため、サラールの死は過失致死ではなく、自分で転倒して死亡した事故として警察はみていた。
また政府は店のあるエリアに監視カメラをつけていなかったので犯人を特定できず、この理由からも事件としての捜査が進められることは絶望的。
サラールは、少なくとも大学を卒業するまではケバブ店を営業し続けることに決める。
ある夜、閉店間際まで居座るスコットという酔っ払いが、キッチンに入ってきて勝手に料理を始める。サラールとスコットは揉み合いになり、スコットの頭を業務用フライヤーの中に突っ込んで死なせてしまう。
ここでサラールの中にある何かが変わってしまった・・・。
亡きサビールが借金だらけで支払いも滞っていたことから肉の調達ができないため、サラールは通報をせず死体を切断後ミンチにし、ケバブの材料肉にしたのだ。。
別の夜、クラブ帰りの2人組の女が口論しながら店に入ってくる。喧嘩は外でやってくれと言うサラールに対して2人は逆ギレし、サラールが卒業論文を書いていたパソコンを破壊する。
サラールは2人を殺害するが、パソコンもデータも完全に破壊されてしまったため卒業はできず・・・。
学費をこれ以上払うこともできず、サラールは退学する。
7年後。
麻薬の売人・ビリーが店内で迷惑行為を働き、サラールは彼を殺害。いつものように体をバラバラにして、ケバブに使えない部位は海に捨てる。
ビリーの持っていたバッグからは大量の麻薬が見つかり、サラールは携帯と麻薬を保管する。
別の日に食い逃げした客が逃げ込んだボロいホテルに入ったサラールは、ホテルを経営する女主人・サラと知り合う。大学を優秀な成績で卒業しながらもまともな仕事には就けなかった彼女に、シンパシーを抱く。
だが、サラは自分でホテルを経営することが夢だった。サラールが一方的に夢破れた女性だと思っていただけで、サラは自分の生きたい人生を生きていたことをしばらくして知る。
そんなサラが後日ケバブ店にやって来てサラールは談笑するが、別の客・スティーブに邪魔をされた上差別的な言葉を浴びせられて店の玄関で小便をする。
スティーブを店から追い出し、サラとバイトの青年・マリクを帰らせたサラール。怒りが収まらず、スティーブを見つけ出すと地下室に監禁して拷問を繰り返す。
スティーブが自分と同じような境遇であることを知ったサラールは、彼を殺し事を躊躇い解放。スティーブ自身、痛みつけられても仕方ないと納得していたので、警察に通報することはなかった。
リアリティスターから実業家に転身したジェイソンが、教会を買収してナイトクラブ"HUSH"を開くことになる。
ケバブ店の近所にあるナイトクラブ"スラッシュ"を経営するのもジェイソンであり、サラールにとってジェイソンは成功者という憧れでもあり嫉妬の対象でもあった。
ナイトクラブのオープンによって市が監視カメラを設置される・・・サラールからすれば監視カメラがなかったせいで父親が事故死扱いされた恨みがあるが、そんな彼の感情を逆撫でするかのようだった。
ジェイソンはこの一帯の麻薬流通を仕切ってもいて、かつてサラールの殺した売人・ビリーや監禁しているスティーブも彼の手先。
サラールは怒りや憎しみ・嫉妬といった感情の矛先にいるジェイソンを破滅させることで心の整理をつけようとする。
一方でジェイソンは、大量の麻薬と一緒に姿を消したビリーを探していたが、部下の1人からビリーとサラールが揉めたことがあると聞く。
さらにサラールの凶行を知ったマリクは弟子にしてほしいと頼むが、それを断られた恨みから『サラールがケバブ店で人を殺している』とジェイソンに情報を売る。
ケバブ店に侵入してビリーの荷物を見つけたことで、ジェイソンはビリー殺しがサラールによる犯行だと確信する。
サラールは捕まって拷問を受け、大量の酒を無理やり飲まされる。
自ら拘束を解いてジェイソンに襲いかかるが、彼によって何度も体を刺され、サラールは深傷を負う。
虫の息のサラールは、ジェイソンの悪事の証拠をネット上にアップロード。
ジェイソンをハメるため、これまで殺して来た人たちの戦利品をクラブに置いていたこともあり、ジェイソンは連続殺人犯として逮捕される。
サラールは自らの命と引き換えに復讐を完遂し、路上で死ぬ。
しかし大量のアルコールを飲まされたこともあり、サラールがは忌み嫌っていたこの町の酔っ払いと同じ類の人間として彼の死は処理される。
